2024.04.08

地方の暮らしと国際社会。実は深くつながっている

法学部 政治学科 4年 橋本悠矢

社会問題とその解決策を学ぶために政治学科へ

私は中学時代に東日本大震災の復興ボランティアに参加して以来、人の役に立つことのやりがいを実感し、その後も海岸のゴミ拾いなどの活動に打ち込んできました。その経験から大学では地域が抱える社会問題を調べ、その解決策を学びたいと思い、公共政策を学べる法学部政治学科を志望しました。高校2年生の時に関西学院大学のオープンキャンパスに参加し、緑が豊かで落ち着いた環境でありながら、大都市にもすぐに出られること、他学部の授業の履修やキャンパスを出て社会を学ぶハンズオン・ラーニングなど、多彩な学びができることなどを知り、入学を決めました。

過疎地域の「買い物弱者問題」を研究

私が所属する望月康恵先生のゼミでは、国際人権について学ぶとともに他大学と合同で国際問題を研究する交流会に参加するほか、興味・関心のあるテーマを研究することができます。私は過疎地域に興味を持っていたので、選択専門演習という授業で取り組んだ「過疎地域における買い物弱者問題」をさらに深めることにしました。過疎地域には公共交通機関や商店がなく、自動車の運転に支障がある高齢者は買い物弱者になってしまいます。過疎化地域の複数の集落から一つの場所に人を移住させるコンパクト・シティという考え方もありますが、民主主義国家の日本では強制力を持って移住させることは現実的ではありません。そこで、誰もが安心して使える無料バスの導入などの解決策を検討し、3年生で提出する論文にその内容をまとめました。

成長を実感した国際問題交流会

望月ゼミの活動の中でも一大イベントになっているのが他大学と合同で国際問題について研究する交流会です。交流会のテーマは世界情勢や国際紛争に関わる事柄から、各国の政治体制や思想・宗教の対立まで多岐にわたります。テーマに沿ってどのような主張をするのかをグループ内で話し合い、根拠となる情報を収集します。客観的な視点で疑問や問題点を洗い出し、検証するというプロセスを大会直前まで繰り返します。メンバー間で情報や知識の差が広がらないように、ひんぱんに議論を行ったことで、視野が広がりつつも主張したいことが研ぎ澄まされ、交流会では成果を上げることができました。私はもともと人前で話をするのが苦手でしたが、交流会を経験したことでプレゼンテーションが苦にならなくなりました。

「民主主義の衰退と権威主義の台頭」を研究

3年生の時にゼミで『民主主義の死に方-二極化する政治が招く独裁への道-』を読んだことをきっかけに、4年生では「民主主義の衰退と権威主義の台頭」について研究しています。権威主義とは一部の人に権力が集中する状態のこと。中国やミャンマー、ロシア、インドなどが権威主義の代表的な国家として挙げられています。望月先生から指摘されたのは、民主主義国家にいる私たちは権威主義国家を批判しがちだが、論文として取り組む以上は客観的な立場から検討をするということ。治安の悪かった国で権威主義的な人がリーダーになり、犯罪への厳罰化と取り締まり強化をしたことで国民の支持が高まった例もあり、必ずしも権威主義が悪いわけではありません。また、民主主義国家の代表格だったアメリカで権威主義的な考え方をする政治家が支持を集めていますが、支持者には支持する理由があります。現在の国際社会では権威主義国家が台頭し、民主主義国家の力が弱くなっていると言われており、私はなぜそのような状態になったのかを研究しています。

権威主義の研究から感じた選挙の重要性

「民主主義の衰退と権威主義の台頭」を研究する中で、私は日本における選挙の投票率の低さに懸念を持つようになりました。民主主義国家では、年齢などの要件さえ満たせば誰でも立候補できます。かつてのドイツで、当時世界で最も民主的な憲法の下で行われた選挙で選ばれたのがナチスだったように、日本でも一部の人から高い人気を持つ独裁主義者や権威主義者、偏った思想の人が当選し、民主主義の制度をやめてしまう可能性も否定できません。投票率が低ければ低いほど、熱烈な支持者の票の割合が増え、その危険性は高くなります。民主主義という制度がその対極にあると思われた権威主義や独裁主義を生むこともあるのです。政治に関心を持ち、選挙に行って自分の意思を投票という形で表すことが重要なのだと考えています。

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