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●法律学科
身近な事件・裁判例を学び、現代社会の課題の解決を探る
法律学科では身近な事件や裁判などを題材にして、法の役割や法解釈を学修します。さらに人文科学や政治学、経済学など多角的視野から法を捉え、それぞれの法が生まれた背景や理由、現在の法の問題点などについても考察します。また、課題の実情を理解し解決力を育むフィールドワークや、多様な演習科目も開講。広く深い社会的視野と教養に根ざした法学の研究を通して、論理的な思考法を身につけます。現代社会が抱えるさまざまな課題を解決し、より良い社会の実現に貢献できるリーガルマインドを持った人材の育成を図ります。
●政治学科
激動する国内外の政治を知り、より良き将来を探究する
急速なグローバル化が進む中、国際社会には地球環境問題や紛争、難民、TPPなどの貿易問題をはじめとする課題が山積しています。一方、国内においても貧困や格差、少子高齢化、障がい者など、社会的弱者の社会進出・共生のために解決しなければならない多くの課題があります。これらの課題を政治に関連づけて学び、より良い将来のために何をすべきか探究するのが政治学科の主な目的です。社会と密着した学びを通して、広く深い社会的視野を持ち、社会的課題を的確に理解・分析し、解決に導く方法を考え、実行する力を身につけます。
●基本DATA
学生数 2,869名 募集人員 680名 専任教員数 53名
●取得可能な資格
[学科共通]・中学校教諭一種免許状 社会 ・高等学校教諭一種免許状 地理歴史/公民 ・学校図書館司書教諭 ・国際バカロレア教員認定証(DP)
[政治学科]・中学校教諭一種免許状 英語 ・高等学校教諭一種免許状 英語
中田 帆香さん
法律学科3年
岡山・岡山白陵高校出身
■学部の学び
正義と公平性への理解を深めるために法学部へ
法曹界を舞台にしたテレビドラマの影響から正義と公平性について探究したいと思い、法学部に入学しました。入学後は法学の基礎から、情報漏洩などの最近の事例、「AI(人工知能)と人権」など今後課題となる分野まで幅広く学んでいます。現在は法律に特化した特修コースで、財産法など民法について研究しています。民法は普段の買い物からマイホームの取得(不動産取引)から、相続に至るまで、いわば「ゆりかごから墓場まで」かかわる法律です。渡邊力先生のゼミに所属し、民法の重要判例・事例について学修しています。
■もう一つの学び
「自ら考える」ことの重要性を再認識したアメリカ留学
大学2年生の時に「法学・政治学グローバル演習」でアメリカ・ミネソタ州のベセル大学を訪問。現地では英語研修に加え、移民教育センターや博物館を見学し、アメリカの文化や法律を学びました。また、同大学の学生と養子縁組や教育、人種問題について議論を行いました。訪問中には「あなたはどう思うのか」という問いをよく投げかけられ、「自分で考える」「自分なりの意見を持つ」姿勢が磨かれました。また、異文化に触れたことで多角的視野が身につきました。将来は自分の意見を持ちつつも公平性を持ち、裁判所と当事者をつなぐ裁判所職員・書記官をめざしています。今後もより専門性の高い勉強を進めていく考えです。
法学部では、「法律学科」と「政治学科」の2つの学科を横断する5コースを設置し「到達目標(どのような力を身につけるか)」に応じたカリキュラムを提供
法律学科、政治学科、それぞれに軸足を置きながら、学生一人ひとりの興味・関心、身につけたい力に合わせて、学科を横断して学ぶことのできる5つのコースを設置しています。各コースの特色を生かしたカリキュラムが用意されており、それぞれの専門領域を広く深く学ぶことができます。
法曹、企業法務、公務の各分野のスペシャリストをめざす「特修コース」
特修コース(選抜制)では「法曹分野」「企業法務分野」「公務分野」の3つの分野を設けています。法曹分野では、現役弁護士などからのきめ細かな実践的指導により、法曹としての価値観や判断力を養います。また、関西学院大学法科大学院との一貫型カリキュラムにより、最短5年で司法試験合格が可能となります。企業法務分野では、企業を支える法務のスペシャリストをめざし、公務分野では、国家公務員による少人数でのアクティブ・ラーニングにより、法律・政治・経済の専門知識を獲得します。
1年生から充実した少人数教育・演習により段階を経て専門領域へ
1年生は全員「スタディスキル演習」を通して法学・政治学を学ぶためのアカデミックスキルを修得。さらに「基本演習」で法学・政治学的思考力の土台を築きます。2年生では、学びの興味・関心に応じて多様な専門分野の中から選択できる「専門導入演習」、裁判の仕組みや法曹の役割などを実践的に学ぶ「模擬裁判演習」、文化と人間のかかわりを幅広く探究する「人文演習」などを開講。3年生からいわゆるゼミと呼ばれる「研究演習」に所属し、より高度な専門領域について学び、4年生では各自の研究テーマを追究し、4年間の学びの集大成とします。
現場の生の声が聴ける卒業生による法学部キャリアオリエンテーションを開催
キャリア支援の一環として、卒業生を中心に、法曹人や公務員、企業法務担当として活躍する方などを招き、体験談などをお話しいただく「法学部キャリアオリエンテーション」を毎年開催。それぞれの仕事の内容や魅力を知ることで、法学部で学ぶ動機づけや将来を考えるきっかけとなるよう、現場の声を聴く貴重な機会となっています。2023年度は、国家公務員、弁護士、社会保険労務士、検察官、企業法務など11の職種についての講義を実施。毎年法学部1年生を中心に600名を超すメンバーが参加するプログラムとなっています。
法学部生の3人に1人は留学を経験 留学しても4年間で卒業できる多くのプログラムを用意
法学部では「法学・政治学」の学びをグローバルに活用できるよう、独自の留学プログラムを用意しています。ボランティアや裁判所・孤児院などの施設見学、法律英語・法制度の学習を中心としたプログラム、中国の法科大学院での長期留学など、参加地域ごとにオリジナルプログラムが用意されています。また、海外渡航が不安な学生も国内にいながら国際交流に挑戦できる科目も開講しています。留学をしても4年間で卒業できるカリキュラムや単位認定制度により、2023年度は約190名の法学部生が留学を経験しました。
▶紹介するのは… 一高 龍司ゼミ
一高 龍司 教授
関西大学法学部卒業。
同大学大学院法学研究科博士前期課程、
神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程修了。
博士(経営学)。
ハーバード・ロー・スクール、
カリフォルニア大学ロサンゼルス校
法科大学院への留学経験を持つ。
米M L B・日本人選手の収入を租税法から考えると何が問題か
米MLBの大谷翔平選手は、野球はもちろんテレビCMなどに起用されて高額な収入を得ています。金額が大きく権利関係も複雑でマネジメント会社を使っているはずですが、本業の野球は主にアメリカで行い、日本でCMに出るなど活躍の場が国境を越えている場合、本人の所得税、会社の法人税はどこでいくら納めるべきでしょうか?租税法の視点で見ると国際課税という重要な論点を含んでいます。
私が専門とするアメリカの租税法も関係しますが、ゼミでは3年生春学期で日本の所得税と法人税、秋学期で国際課税を学びます。国際課税は「日本企業などが外国で稼ぐ場合」と「外国企業などが日本で稼ぐ場合」の2つの点から考えます。制度の概要を確認した上でテキストを読み、引用文献や判例なども調べてまとめ、発表をしてもらう形で進めています。4年生は任意で、自分で決めたテーマの研究成果を仕上げます。
卒業したゼミ生は税理士や会計士、国税関係の公務員になった人もいれば、民間企業や地方自治体の公務員になった人などさまざま。租税法はすべての人にかかわりのあるものですから、どのような職に就いてもゼミで身につけた知識や技能は役に立つと考えています。
▶このゼミの卒業生
デロイト トーマツ税理士法人 東京事務所
ビジネス タックス サービス アソシエイト
近田 眞
2016年度 法学部卒業
2017年度 商学部卒業※
2019年度 法学研究科 博士課程前期課程修了
※マルチプル・ディグリー制度を利用
A I の時代になっても努力は必ず報われる
先生の言葉通りになったと感じています
大学2年生の時に行われた簿記の模試の成績が良かったことから、税理士をめざそうと決意。必要な知識を得るために租税法の一高龍司先生のゼミを選択しました。また、マルチプル・ディグリー制度を利用して法学部を早期卒業し、商学部で1年間会計を学びました。その後大学院法学研究科博士課程前期課程に進学・修了。大学院在学中に税理士資格を取得しました。
学生時代にAIが話題になった時、「税理士の仕事はAIに取って代わられる」と言われ不安になったことがありました。その時、一高先生から「どんな時代になっても、苦労して身につけたものは何らかの形を変えて必ず役に立つ」と励まされました。現在、私は税理士法人で企業の税務申告支援、税務相談業務を行っています。確かに申告書の作成などは自動化が進んでいますが、その分、税務相談に充てる時間が増えて、一高先生のおっしゃった通りになったと感じています。今後は個人の相続関連など、仕事の幅を広げて税務のスペシャリストとして社会に貢献していきたいと考えています。