●社会福祉学科
未来の社会を担う優れたソーシャルワーカーを育成

70年の長い歴史をもつ関学のソーシャルワーク教育では、地域社会および国際社会において、豊かな人間性と人権意識、深い知識や実践能力を持ち、誰もが「より良く生きる」ために寄与する人材の育成を図ります。実践的カリキュラムによって、福祉の現状を把握し、将来に向けての課題の発見・解決をめざします。さらに社会福祉士や精神保健福祉士の資格取得も支援。さまざまな困難を抱える社会的弱者に対し、行政や医療・福祉機関などと協同し最適な社会的支援を提案・実行できる福祉のスペシャリストを育てます。


●社会起業学科
グローバルに、ローカルに、社会の課題を解決する社会起業能力を持った人材を育成

国際化・多様化が進む現代社会の中で、「人間の福祉」やより良い社会の実現に貢献する事業や政策を企画・立案し、実行できる「社会起業能力」を培います。国内・海外でのフィールドワークなどの実践的なカリキュラムによって、社会や人々の生活を総合的に捉える視点や、地域社会の問題を他者と連帯して解決できる自治能力、グローバル水準の思考力・実践力を修得。多元的・国際的に行動する「市民力」と、ヒューマンサービスに携わるための優れた「社会起業能力」を持った人材を育成します。


●人間科学科
「こころ」と「身体」の両面から、人々を支える人材を育成

「こころ(スピリチュアリティ)」と「身体」の両面から、人間のあり方と自己実現への理解を深めます。死生学、悲嘆学、生命倫理学などを中心とした領域と、身体運動科学、身体パフォーマンスを中心とした領域の2分野を統合的に学習。人間理解に基づき、「こころ」や「身体」を病む人に寄り添い、QOL(Quality of Life=いのちの質・生活の質)を支えることができる対人援助職、子どもから高齢者までかかわる福祉専門職、保健体育教諭やスポーツ指導者など、「こころ」と「身体」双方の健康向上に寄与できる人材の育成を図ります。


●基本DATA
学生数 1,284名  募集人員 300名  専任教員数 42名
●取得可能な資格
[学科共通]・国際バカロレア教員認定証(DP) ・初級パラスポーツ指導員 ・キャンプディレクター2級 
[社会福祉学科]・社会福祉士(国家試験受験資格) ・精神保健福祉士(国家試験受験資格) ・スクール(学校)ソーシャルワーカー
[社会起業学科]・高等学校教諭一種免許状 公民
[社会起業学科/人間科学科]・学校図書館司書教諭
[人間科学科]・中学校教諭一種免許状 保健体育 ・高等学校教諭一種免許状 保健体育

学生インタビュー



林 楓馬さん
社会起業学科3年
愛知・名城大学附属高校出身

■学部の学び
真の国際貢献とは何か、その答えを探しています

高校2年生の時に参加したフィリピンでのボランティア活動で、孤児院の子どもたちに「食料を与えてあげる」というような姿勢に疑問を持ち、「真の国際貢献、対等な国際協力とは何か」を考えるようになりました。そんな中、人間福祉学をベースに、ビジネスで社会課題を解決する「社会起業」という考え方に出会い、社会起業学科に入学。社会開発論やビジネスプランをつくるPBL特別演習など社会福祉とビジネスを学んでいます。

■もう一つの学び
事前に文献を読むことがマイルールになりました

大学で学ぶ一方、企業で複数の新規事業の立ち上げにかかわり、「ビジネス・プランニング」の授業での学びを実践する機会を得ました。その結果、行動を起こす前にその分野の学術書や論文を読むことが自分のルールになりました。また、大学3年生の時に人間福祉海外フィールドスタディでバングラデシュを訪問、マイクロファイナンス※1の調査を行いました。今はこの結果を論文にして関連学会で発表をするとともに、学会誌への掲載をめざしています。大学入学以来、私は「何が社会のためになるのか」に向き合っています。卒業後の進路は大学院に進学して研究者をめざすのか、それとも就職するかを決めかねていますが、何らかの形でより良い社会の実現に貢献したいと考えています。

※1 貧困層や低所得者に少額のお金を無担保で貸し、経済的に自立するための支援を行う金融サービス。

学科共通の特色

 第二言語として手話を学び、ろう者への理解を深める

本学で唯一、「日本手話」を第二言語として開講しています。授業では実技はもちろん、ろう者にとって欠かせないコミュニケーション手段である日本手話は日本語に比べ少数言語であるため、日本手話を母語とするろう者との会話を成立させていくために、ろう者の価値観や生活背景についての基本的な知識などについても学びます。単に日本手話を修得するだけではなく、ろう者を取り巻く社会や文化事情の理解を深め、マイノリティとしてのろう者への働きかけについて考察します。

 学生の学びや進路を力強くサポートする「実践教育支援室」

実践教育支援室では、人間福祉学部における各種実習、フィールドワーク、インターンシップなど、さまざまなフィールドで実施されるカリキュラムに対する総合的な支援を行います。実践教育の場として、福祉、医療、NGO、NPO、社会的企業、自治体、教育など約200の国内外の機関から学生のニーズに応じた紹介が可能。さまざまな福祉施設やNPO法人で活躍した実務経験のあるスタッフがコーディネートや社会福祉士や精神保健福祉士の国家資格試験にかかわるサポートや進路相談など、学生を力強く支援します。

ゼミ紹介


▶紹介するのは… 甲斐 知彦ゼミ



甲斐 知彦 教授
自身の健康状態が運動によって改善したことから、
「運動と健康」に興味を持ち、研究の道へ進む。
日本体育大学卒業。
同大学大学院・情報科学芸術大学院大学博士前期課程修了、
弘前大学大学院医学研究科博士課程修了。

キャンプで使えるアプリ開発など野外教育指導法の見える化に挑戦

関西学院は1925年に中学部でキャンプを教育に取り入れた、日本における野外教育の草分け的存在です。「キャンプのプログラム」は指導者が10人いれば 10通りと言われるほど、指導者個人の経験値や美意識によるところが多く、指導法を論理的に次の世代に伝えることが難しいといえます。そこで私は情報科学を用いて、指導法を「見える化」し、次の世代に伝えることでキャンプの質を高めたいと考えています。
ゼミの学生には、無人島体験、安全管理を学ぶための自衛隊への体験入隊など、さまざまな「キャンプ」を経験してもらい、キャンプで使えるアプリ開発など、情報科学を使った作品の制作に取り組んでもらっています。
また、野外での活動は屋内に比べて困難なことも多く、その体験を通して、これからの社会で必要とされる「困難を乗り越える力」を育むことができます。オスカー・ワイルドの言葉に、「自然は芸術を模倣する」といった言葉があります。つまり、人間は芸術を通して「自然を美しい」と感じているというわけです。キャンプも同様で、子どもたちが「キャンプはいいものだ」「自然は素晴らしい」と感じるためには「何か」が必要だと思っています。その「何か」を作品としてゼミの学生とつくりあげたいと思っています。


▶このゼミの卒業生



株式会社オリエンタルランド
エンターテイメント本部ショー運営部
第2ショー運営グループ スーパーバイザー
三宅 咲
2015年度 人間福祉学部 人間科学科卒業

ゼミで学んだ野外教育運営の経験が今の仕事にも役立っています

中学・高校で学校行事として野外教育を数多く体験し、その楽しさを知ったことから野外教育の専門家の甲斐知彦先生のゼミを選択しました。ゼミではキャンプや無人島での生活を体験したほか、大学周辺に住む小学生を対象にしたキャンプの企画・運営を行いました。甲斐先生から「参加者に野外での体験を通して何を持って帰ってもらうのかをよく考えなさい」という指導を受け、目的・手段・準備などメンバーとよく話し合いました。そこで春からサツマイモを栽培しておき、秋のキャンプで収穫、「自然の恵み」を体感してもらう企画を実施。野外では予期せぬ事が起きますが、準備していたため無事に終えることができ、子どもたちが笑顔で帰る姿を見た時に達成感がありました。
現在、私は千葉県にあるテーマパークでショーの運営をしています。お客さまにとって来園した日の体験が より良い思い出となるために何をすべきなのかを考える時、甲斐ゼミで培った知識や体験が生かされていると感じています。