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感性と工学をつなぐ技術を追い求めて
工学部長田典子 教授【前編】
「感性工学」の専門家として企業・国との取り組みを推進
私の専門「感性工学」を一言で表現すると、「人の感性に響くものづくり」を目的にしたもの。ユーザーが感動を覚えたり、共感が広がったりするものづくりをめざすとともに、映像や音楽がなぜ人を感動させるのかを明らかにして、映像・音楽などのメディアをよりよくする研究を行っています。数々の研究テーマを同時並行で取り組んでいますが、その半数は企業との共同研究です。もう半分は国のプロジェクト。関西学院大学は文部科学省のCOIプロジェクト「感性とデジタル製造を直結し、生活者の創造性を拡張するファブ地球社会創造拠点」の一つに選ばれており、私は人間の感性と創造性の解明をめざす「ヒューマン&デザイングループ」のリーダーとして、他大学と協働しながら研究を推進しています。製造業からアニメ・CMまで幅広い分野で活用される技術を研究
具体的な例を挙げると、アニメ「のだめ・カンタービレ」でも用いられた「モーションキャプチャーを使ったピアノ演奏時動作のCG表現」、化粧品会社との協働による「触感の透明感を追求した肌溶けパウダーファンデーション」、カメラボディの塗装やクルマの内装に応用された「ユーザーの感性に訴える内装・塗装の質感」の研究、大手百貨店などで導入に向けた取り組みが進む「感性AIを活用したユーザー好みの服を提示するシステム」ほか、多数が進行中。また、「感性価値指標の自動構築」「音楽と映像がどのように影響し合っているかの分析」といった感性工学の基礎研究をはじめ、ある特定のアーティストの「その人らしい曲とはどういうものか」を明らかにする研究といった内容にも取り組んでいます。
左図:「華やかな」「大人っぽい」といった形容詞で柄を検索できる感性AIソムリエを研究室で開発。自分の服を自分でデザインするアプリCOUTURE(クチュール)に搭載されている。