Programs at Each Schools 学部プログラム

2020.06.16

物理現象や理論を実験で確認できた

理学部 3年生中筋ひなたさん

基礎物理学実験Ⅰ:物理学の諸項目(ボルダの振り子による重力加速度gの測定、クレマン-デゾルムの方法による気体の両比熱比の測定、光電効果によるプランク定数の測定、強磁性体の磁化特性など)についての基礎的な実験・測定を実際に行うことにより、物理学の理解を深めます。理工学部 開講科目。

※中筋 ひなたさんは 理学部 (2021年4月開設)の前身である、理工学部(募集停止)所属です。

2人一組で一つの実験を行う

物理学科の学生は必修で、2年の春学期に履修します。週に1回、2コマを使い、2人一組で一つの実験を行います。高校で習った物理現象や理論を、実験をすることで実際その通りになるか確かめるのです。

例えば、ボルダの振り子による重力加速度(g)の測定。高校の物理の授業では、g=9.8という値は習いましたが、実際に測定することはありませんでした。この授業では、振り子を使って周期を何度も測定して、得られたデータを解析し、最終的にgの値を求めていきます。測定値は毎回違うので、その平均値を取ったり、誤差を割り出したり。結果、9.8に限りなく近い数値にたどり着けば、うれしいし達成感があります。

サイクロトロン運動の実験装置に感動

半年間に実施した10の実験の中でも印象的だったのは、サイクロトロン運動による比電荷(e/m)の測定です。サイクロトロン運動とは電子の円運動のこと。球体の実験装置に電圧をかけると電子が円運動を始めるので、その半径を測定して、比電荷を求めていきます。サイクロトロン運動の問題は大学の入学試験でもよく見るので、理論がどう導かれたのか、実際にその様子を見ることができて面白かったです。実験装置も、まず大学でしか見られないだろうというものですし、興味をそそりました。

実験のやり方は大学院生のティーチング・アシスタント(TA)が教えてくれます。実験途中で疑問に思ったことも、質問すれば、その都度答えてくださるので安心して臨めました。

実験結果はリポートにまとめる

実験結果はリポートにして提出します。リポートには、その実験の「目的」「理論」「実験装置や測定器具」「実験の方法」を書き、その後に「結果」です。「結果」には、まず、実験を通して得られたデータを表やグラフにして掲載します。

次に、得られたデータを理論式にあてはめて値を求めていきます。例えば、サイクロトロン運動による比電荷はe/m=2V/B²rc²という理論式になります。実験で得られたv(電圧)、B(時速密度)、rc(半径)を式にあてはめて、e/mを出すという計算をして、すでに決まっている文献値に近づいたのか、誤差はどれぐらいになったか、その結果を示します。

そして、最後に「考察」として、今回の実験結果から何が分かったのか、どういうことが考えられるのかを書きます。自分なりの考えや意見を求められるので、一番苦心しました。

結果から原因や課題を探ることを覚えた

リポートは授業(実験)の後、次の授業までにまとめなくてはなりません。一人ではくじけそうになるので、学科の友達と一緒に締め切り日の前日まで アカデミックコモンズ に集まって頑張りました。かなり大変でしたが、仲間とわいわいと教え合いながらやるのは楽しかったし、「考察」の作成を通して、実験結果をそのままにせず、そこから原因や課題を探ることができるようになったと思います。何より、物理学の理論が実際そうなることを自分自身で確認できたのは収穫でした。

※理工学部は理学部、工学部、生命環境学部、建築学部に再編しました(2021年4月開設)。
詳細は こちら

 

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