2019.12.13
本気で取り組む現場での活動は貴重な経験の連続
理工学部2年生(理学部)松岡甫さん
ハンズオン・インターンシップ実習:夏休みや春休みの1か月間に渡って実施する課題解決・企画提案型の実践的なインターンシップ・プログラム。受入先は岩手、福井、石川、岡山、大阪、兵庫の企業や団体です。リアルな現場で本気の経営者や社員とプロジェクトに取り組み、みずからチャレンジして成長する力を伸ばします。 ハンズオン・ラーニングセンター 提供。
※松岡 甫さんは 理学部 (2021年4月開設)の前身である、理工学部(募集停止)所属です。
挑戦する夏休みにするため
1年生の夏休みに「これを頑張った」という達成感がなく、後悔していました。2年生の夏休みは必ず何かに挑戦したいと思い、いろいろ調べていました。この実習の説明を聞いて、「課題解決・企画提案型」「派遣先が大学生を求めている」ことに魅力を感じ、履修しました。
事前研修でゴールや目的を明確に
この実習では、事前・事後研修があります。事前研修では、無駄な時間を過ごすことのないよう、ゴールや目的の設定を行い共有しました。当然、派遣先では学生扱いされませんので、社会人の一員としての意識を持ち、ビジネスマナーを習得しておく必要があります。担当の先生が厳しく指導してくれるので、事前研修を通じて、派遣中の1カ月半の過ごし方を明確にでき、自分の言葉で表現できるようになりました。私の派遣エリアは石川県七尾市だったので、縁もゆかりもない土地だからこそ、まずは町に溶け込み、実現性のある提案をすることを目標にしました。
ゼロから人間関係を築く
インターンシップ先は、たかしな地区活性化協議会(以下、協議会)で、私のミッションは協議会が2020年度から指定管理者になる廃校の利活用案を提案することでした。協議会スタッフ、他大学からのインターンシップ生、私の3人で活動しました。
最初の1週間は、地域に馴染むため、とにかく町を回り、住民に顔を売ることに徹しました。住民の集まるカフェや学童施設などで交流することで、少しずつ距離が縮まった気がします。
2週目からは廃校の現状の調査、住民へのヒヤリングを開始しました。町会長や役員、他県からの移住者、小学生など、幅広い対象者の意見を聞くことを意識しました。また、協議会のSNSアカウントを作成して日々の活動を発信し、地域内外の方に現状を知っていただけるよう注力しました。
住民のためにベストな提案を
4週目には、「若者が参加したくなるイベントをやろう」ということで、廃校ビアガーデンというイベントを企画しました。子育て世帯も参加しやすいよう、流しそうめんも用意。30人くらいの参加を予想していたのですが、当日は約150人が参加し、大盛況となりました。地元の新聞社に取り上げられ、「来年もやって欲しい」という声も聞かれました。
5週目からは、ヒヤリングで集めた情報をもとに、廃校利活用案の作成に取り掛かりました。高階(たかしな)地区は県外からの移住者の受け入れにも力を入れているため、ダイバーシティという観点を意識し、①地域情報満載のコミュニティースペース、②郷土料理を楽しめる飲食スペース、③コワーキングスペース、④何でもできるフリースペースを設置することにしました。飲食スペースでは給食室を使って地域住民が郷土料理を観光客に提供し、フリースペースでは住民が特技を披露するなどイベントの開催を想定しています。
インターンシップの最終日に、住民にむけて提案。女性会の代表者が「郷土料理の提供は私たちが責任を持ってやりたい」と言ってくれるなど反響があり、住民のニーズを踏まえた提案ができたのではないかと手ごたえを感じました。送別会を開いてもらった時はうれしかったですね。
また訪れたいと思える場所に
古くからその土地で生活してきた方の意見には「この町はこのままでいい」という考えも多くありました。きっと「よそ者の若いやつが偉そうに」と思っていた人もいるでしょう。それでもくじけず、私の「この町を良くしたい」という思いや姿勢が伝わり、「この取り組みは良いな」とか「これはダメだ」などしっかり意見をくれるようになりました。一人ひとりの住民としっかり向き合うことができ、人の温かさや田舎ならではのコミュニティーの強さを実感しました。これは、キャンパス内では決してできない経験だと思います。
また、世代や価値観の違う人の意見を受け入れる難しさと大切さを学び、違ったタイプの人の意見をまとめる難しさを痛感しました。
自分に何の関係もない地域の将来を本気で考え、取り組めたことは貴重な経験だなと感じています。また訪れたいと思える場所になりました。
※理工学部は理学部、工学部、生命環境学部、建築学部に再編しました(2021年4月開設)。
詳細は
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