Research 研究

人生をもっと自由におもしろく。スタートアップという生き方の魅力

経済学部経済アナリスト・馬渕磨理子×経済学者・加藤雅俊

「始めること」「立ち上げること」を意味する「スタートアップ」。新しい事業を始めること、あるいはその企業も指し、根底には共通して、新しいことに挑戦するというマインドが流れています。そんなスタートアップについて、経済アナリストで日本金融経済研究所の代表理事を務める馬渕磨理子さんと、スタートアップを研究する加藤雅俊先生(経済学部 教授)が対談。その模様を、前後編にわたってお届けします。前編では、スタートアップ企業の魅力や志望する学生の傾向などについて意見を交わしました。

≫人生における ”仕事” とは? 中編は こちら から

自由度が高く、自分の能力を生かしやすいのがスタートアップ企業

 

加藤:馬渕さんといえば、テレビやラジオ、YouTubeや書籍出版、講演会など、経済アナリストとして各方面で大活躍されている一方で、株式投資型クラウドファンディング事業を営むスタートアップ企業の社員でもいらっしゃいます。毎日が、かなりお忙しいんじゃないですか?

馬渕:オンオフの境目がないタイプなんですが、仕事そのものが楽しいので苦じゃないです。中でもスタートアップ企業から大規模な上場企業まで、さまざまな経営者とお目にかかり、インタビューをする現場仕事が特におもしろいです。

加藤:直接お会しないとわからないこともたくさんありますもんね。大企業もスタートアップ企業もよくご存知である中で、両者の違いを感じることはありますか。

馬渕:どちらが良い悪いではなく、流れている時間の感覚、スピード感が全然違いますね。スタートアップ企業は速いので、意志決定が即日や翌日になされることも少なくありませんが、大企業は慎重なので1カ月や3カ月かかることも当然あります。

加藤:大企業は決定を出すまでのプロセスも多いですからね。私もスタートアップ企業の方々と関わることがあるんですが、とにかくその場ですぐ話が決まると言いますか。「データを使わせてくれませんか」という連絡をしたら、「では共同研究しましょう」と申し出てくださるなど、文化もすごく違いますよね。

馬渕:一人ひとりの裁量権が大きいことも、意志決定の速さにつながっていると思います。責任は伴いますけれども、自己責任でプロジェクトを動かせて自由度も高いですし。思いついたことをすぐ実践できる場があるのはスタートアップ企業のほうでしょうね。

加藤:スタートアップ企業だからこそ自分の能力を活かせる部分もあるのかもしれませんね。また、スタートアップ企業にもいろいろ違いはあるものの、1人で複数の業務を担当するなど、(※)ゼネラリストであることが求められる側面が大きいように思います。大企業とは求められるスキルも違いますよね。

(※)ゼネラリストとは、分野を限定しない広範囲な知識・技術・経験を持つ人。

≫人生における ”仕事” とは? 中編は こちら から

◆関西学院ウェブマガジン「月と窓」に、「馬渕磨理子×加藤雅俊。人生を豊かにする、スタートアップという生き方」を公開中。
こちらもぜひご覧ください。

Profile

馬渕 磨理子(Mariko MABUCHI)

経済アナリスト。一般社団法人日本金融経済研究所 代表理事、ハリウッド大学院大学 客員准教授。公共政策修士。京都大学 公共政策大学院 修士課程を修了。トレーダーとして法人の資産運用を担う。その後、金融メディアのシニアアナリストなどを経て、現在勤務するファンディーノ社で日本初のECFアナリストとして政策提言に関わる。テレビや雑誌、Webメディアや講演会などでも活躍。「日本一バズるアナリスト」と言われる。『5万円からでも始められる! 黒字転換2倍株で勝つ投資術』『京大院卒経済アナリストが開発! 収入10倍アップ高速勉強法 』ほか著書多数。

加藤 雅俊(Masatoshi KATO)

関西学院大学 経済学部 教授、関西学院大学アントレプレナーシップ研究センター センター長。博士(商学)。一橋大学経済研究所専任講師などを経て、2010年に関西学院大学に赴任し、2018年より現職。専門は、産業組織論。近年は、スタートアップに関する実証研究に従事。アントレプレナーによる創業および創業後のスタートアップに対する支援の方向性に対して示唆を与えることをめざしている。近著に『スタートアップの経済学―新しい企業の誕生と成長プロセスを学ぶ』(有斐閣)がある。

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